笑顔で自分らしい接客を
会社のキャラクターがデザインされたピンク色のタクシーを走らせる。「タクシードライバーは、働き方の自由度が高く、自分らしく働ける仕事」。笑顔で乗客に寄り添う。
この仕事に就いた12年前、まだ女性ドライバーは少なく、乗客に拒否された経験もある。「運転が下手」と言われ、「どこがだめなのか教えてください」と尋ねたことも。何度もくじけそうになりながら、「とにかく安全運転に徹しよう」と心に決め、勉強を重ねた。
タクシードライバーは「勤務時間や売り上げ目標など、自分で決められることも多く、男女関係なく活躍できる」と話す。同時に、柔和な雰囲気やきめ細やかな気配りが乗客に安心感を与え、「女性ドライバーでよかった」と喜ばれることも増えた。9年前から勤める現在の会社は、女性専用の更衣室やトイレ、多様な車両や防犯ブザーの導入など積極的に環境整備を進め、10人以上の女性ドライバーが働く。
日々心がけているのは、「常に気持ちを一定に保つこと」。高齢の乗客も多く、接客では「自分ならどうしてほしいか」を考えて声かけやサポートをする。自身もこの先の働き方を思案する年齢になったが、顔なじみの乗客が増え、励ましや感謝の声も耳にする中で、「辞められないな」という思いもよぎる。人生のさまざまな経験を積んだ今の自分だからこそ、できる接客がある。「お客さまの話に耳を傾け、気持ちに寄り添いたい」とハンドルを握る。
【写真説明】ピンク色のタクシーで街に元気を届ける坪倉さん
[令和6年12月19日(木)日本海新聞掲載]