3-3就労・中小企業対策

I 現状(分析)

 「平成12年度同和地区実態把握等調査」によると、就労・中小企業対策関係の主な状況は次のとおりである。

【就労状況】

 有業者を産業分類別にみると、「建設業」30.7%、「製造業」18.1%、「サービス業」16.2%の順となっている。「建設業」は県平均(平成9年就業構造基本調査)10.8%の2.8倍となっている。
 年齢階層別にみる有業率は、前回調査の平成5年全国調査と比較すると「30歳以上」はすべて下回っているが、逆に「15~19歳」は3.0ポイント高くなり21.3%となっている。また、県平均(平成9年就業構造基本調査)と比較すると「40歳以上」はすべて下回っているが、「15~19歳」は9.1ポイント高くなり21.3%となっている。
 就労形態をみると、「雇用者」のうち「常雇」58.0%、「臨時雇」9.3%、「日雇」8.0%となっている。前回調査と比較すると、「雇用者」は1.7ポイントの減少、「常雇」は5.5ポイントの減少、「臨時雇」は3.6ポイントの増加、「日雇」は0.2ポイントの増加となっている。全国平均(平成9年就業構造基本調査)と比較すると、「雇用者」は1.1ポイント低く、「常雇」は8.7ポイント低く、「臨時雇」は1.8ポイント高く、「日雇」は5.8ポイント高くなっており、全国平均に比べ、「臨時雇」、「日雇」の不安定就労の比率が高い。

【収入状況】

 過去1年間の収入(収益)をみると、「50万円未満」が8.4%(前回調査5.8%)、「50~99万円」が8.33%(前回調査6.7%)、「100~149万円」が11.5%(前回調査16.2%)、「150~199万円」が12.6%(前回調査15.3%)など「200万円未満」の合計は40.8%(前回調査44.0%)を占めており、「1,000万円以上」は0.7%(前回調査0.7%)となっているが、「500万円以上」は8.7%(前回調査5.7%)となっている。
 区分別でみると「200~249万円」の14.7%が最も高いのに対し、全国平均(平成9年就業構造基本調査)では、「300~399万円」の13.6%が最も高くなっている。前回調査と比較すると、収入(収益)階層の構成割合は、「400万円以上」と「99万円以下」の階層で増加した一方、「100~399万円」の階層で減少している。

【転職希望】

 有業者の転職希望理由で比率の高いのは、「収入が少ないから」が一番多く35.8%(前回調査31.6%)、次いで「一時的な仕事だから」18.2%(前回調査13.4%)、そして「将来性がないから」13.4%(前回調査18.2%)、「時間的・肉体的に負担が大きいから」11.6%(前回調査13.9%)などが続いており、この4つの理由で79.0%(前回調査77.1%)を占めている。
 これを、全国平均(平成9年就業構造基本調査)と比較すると、全国平均で一番多かった「収入が少ないから」24.0%より県内同和地区は11.8%高く、次いで全国平均第二位の「時間的・肉体的に負担が大きいから」22.1%より県内同和地区は10.5%低くなっている。

【事業経営】

 農林水産業以外の事業経営を行っている世帯は、15.2%であり、前回調査と比べ2.2ポイント減少している。
 業種別にみると、「建設業」が53.4%と最も高く、次いで「サービス業」14.5%、「製造業」7.6%となっており、県平均(平成11年事業所統計調査)と比較すると、「建設業」は約5倍に、「サービス業」は約2分の1に、「製造業」はほぼ同じになっている。また、「卸売業」「小売業」「飲食店」の三つの合計は、12.9%であり、県平均(平成11年事業所統計調査)と比較すると3分の1以下であり、前回調査と比較すると4.8ポイント低くなっている。
 事業経営の組織別にみると、「個人経営」65.5%、「有限会社」27.5%、「株式会社」5.0%となっている。県平均(平成11年事業所統計調査)と比較すると、「有限会社」は6.4ポイント高いが、「個人経営」は13.9ポイント低く、「株式会社」も12.5ポイント低くなっている。

II これまでの同和対策の成果と今後の課題

 就労・中小企業の状況はその時々の景気等に左右される部分も大きく、現在の長引く不況下にあって、大きくは改善が進んでいない。
 しかしながら、同和地区中小企業特別融資、特定新規学卒者就職促進奨励金などは各年度一定規模の需要があり、事業主・新規学卒者を下支えしてきており、経営指導員・企業人権啓発相談員等のきめ細やかな活動は、住民・事業主から期待されているところである。また、専修学校等奨学資金は実践的な専門知識・技術を身につけ、就業機会を拡大する施策として利用率は高く、今後の就労状況の改善にもつながるものと考えられる。
 以上のように、これらの施策はそれぞれ一定の役割を果たしているが、完全に較差が解消されたとはいえない状況である。特に近年の激動する経済・雇用情勢の中で、その時々の課題に的確に対応するよう施策を見つめ直し、較差是正につなげていく必要がある。

III 今後の施策の基本的な方向

 現状、成果等を踏まえ、同和問題解決のために特別対策の継続が必要と考えられる施策については継続し、既に一般施策に移行しているもの及び平成14年度から一般施策に移行するものに関しては、対象地域の実情を十分に考慮しながら的確に対応していく。
 経済・雇用情勢の変動の激しい現状から、今後、必要に応じてそれぞれの施策の評価等を行い、較差の早期解消に向けて努力していく。

  

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