防災・危機管理情報


I 現状(分析)

 「平成12年度同和地区実態把握等調査」によると、社会福祉対策関係の主な状況は次のとおりである。

【隣保館の利用状況等】

 周辺地域を含めた地域社会全体の中で、人権啓発等の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、県内に36の隣保館が設置されている。 隣保館の利用状況は、利用が「有」とする割合が69.1%と前回調査の平成5年全国調査と比較して5.0ポイント低くなっている。
 利用内容は「地域住民の諸集会、会議等」が56.9%で最も多く、前回調査と比較すると「クラブ活動、教養講座、サークル活動」の割合が27.3%と唯一高くなっている。

【父子・母子世帯】

 父子・母子世帯の割合は、2.1%となっており、前回調査と比較すると0.6ポイント低く、県全体(平成10年度国民生活基礎調査)と比較すると0.5ポイント高くなっている。

【高齢化率】

 65歳以上の人口の割合は、19.6%であるが、同和地区を有する市町村の割合21.5%と比較すると1.9ポイント低い。
 また、75歳以上の人口の割合は、7.0%であるが、同和地区を有する市町村の割合9.5%と比較すると2.5ポイント低くなっている。

【住民の健康状態】

 住民の健康状態について前回調査と比較すると、「健康と思っている者」の割合は高く、「入・通院、入・通所していない者」、「身体介護を要しない者」の割合は低くなっている。
 しかし、県内及び全国調査(平成10年度国民生活基礎調査)と比較すると、「健康と思っている者」、「身体介護を要しない者」の割合が低くなっており、「入・通院、入・通所していない者」の割合が高くなっている。

ア 健康の状況
  「健康と思っている者」の割合
   ○6歳以上 83.5%(前回82.7%・全国86.4%)
   ○65歳以上 57.0%(前回52.1%・全国73.9%)
イ 入通院の状況
  「入・通院、入・通所していない者」の割合
   ○73.6%(前回75.7%・全国69.3%)
ウ 身体介護
  「身体介護を要しない者」の割合
   ○95.9%(前回97.7%・県内98.7%)

【生活保護率】

 生活保護率は16.0%で、前回調査と比較すると1.3ポイント高くなっており、報告市町村全体の5.7%の約2.8倍となっている。

【公的年金の加入状況】

 公的年金に加入している者は63.9%となっており、前回調査と比較すると8.0ポイント、全国平均65.0%と比較して1.1ポイント低くなっている。

【身体障害】

 身体障害有との回答が5.0%で前回調査と比較すると0.2ポイント低くなっているが、身体障害者手帳「有」の者は4.1%で平成9年度身体障害(児)者実態調査の県平均と比較すると0.9ポイント高くなっている。

II これまでの同和対策の成果と今後の課題

 前記の各種調査結果からも同和問題等への課題が表れているが、これらの問題に対処するために保育所に対する保育士の加配、隣保館等への健康管理運動器具の整備、同和対策に係る県税の特別措置など各種施策を実施し、さらに、隣保館、児童館、老人憩の家の施設整備を行うとともに、施設を活用した活動が行われてきたところである。

【隣保館に関する事業】

 地域住民の福祉の向上や人権啓発の拠点施設として、施設整備を図るとともに、隣保館の運営費や生活相談員の設置に対し助成を行うなど、隣保館活動の充実強化を進めてきた。今後、地域におけるコミュニティーセンターとして活動していくため、メニュー事業や既存の一般施策の積極的な活用が求められている。
 隣保館は、福祉の拠点施設としての役割を担うものであり、その整備を積極的に進めているが、建築後相当期間が経過し、施設の老朽化やバリアフリー化等が必要な施設が依然多い。このため、増改築、大規模修繕等への対応が今後とも必要となる。
 生活相談員設置事業については、地域の相談ニーズが従来にも増して多種多様になっており、専門的相談内容に対応できる知識を有し、住民が安心して相談できる生活相談員の果たす役割は大きい。

【児童福祉に関する事業】

 保育の重要性から保育所への保育士の加配により、対象児童の処遇向上に寄与している。引き続き、補助対象となる保育所には保育士の加配が行われるよう市町村へ働きかけていく。 児童館については、整備計画のあった施設の整備は完了している。今後、施設の老朽化による修繕等が課題となる。

【高齢者福祉に関する事業】

 高齢者の心身の健康増進等のため、市町村から要望のあった老人憩の家の整備は全て完了した。今後は、施設の活用や修繕に対する対応が課題となる。

【健康増進に関する事業】

 地域住民の健康増進のため、隣保館等に健康管理運動器具を整備し、クラブ活動や健康教育等での活用により、住民の健康増進に寄与しているが、未整備施設があり、事業継続の要望がある。

【県税の特別措置】

 部落解放同盟の活動や個人の住宅の取得を税制面から支援することにより、地域住民の福祉の向上及び住環境整備の促進等に一定の効果があった。

III 今後の施策の基本的な方向

 既に一般施策に移行されているもの及び平成14年度以降、特別対策を一般施策で行うものに関しては地域の実情等を考慮し、今後も積極的に施策の充実を図り、隣保館や児童館、老人憩の家等の福祉施設を有効に活用しながら、施策を推進していく必要がある。
 なお、いうまでもなく隣保館、児童館、老人憩の家は地方自治法に規定する「公の施設」であり、その設置運営主体は市町村である。このことからも市町村は、その管理運営にあたっては、地域の実情に即した、福祉の向上や人権啓発のための「住民交流の拠点」となる地域社会に密着したコミュニティーセンターとして、周辺住民を含めて地域住民が利用できるよう、各市町村においてそれぞれの施設にふさわしい内容と方法によって主体的に取り組むことが望まれる。
 また、現状、成果等を踏まえ、同和問題解決のために特別対策の継続が必要と考えられる施策については、今後も継続する。

  

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