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2022年11月14日

「新鳥取県史を学ぶ講座『考古学研究による新しい歴史像』(第3回)「白鳳・天平文化の華-因幡・伯耆の古代寺院-」を開催しました。

 令和4年11月6日(日)、県立博物館講堂において、新鳥取県史を学ぶ講座『考古学研究による新しい歴史像』(第3回)を開催し、米子市経済部文化観光局文化振興課専門官の中原斉先生に「白鳳・天平文化の華-因幡・伯耆の古代寺院-」というテーマでご講演いただきました。
 
 ご講演の中では、因幡・伯耆の豪族が仏教文化を速やかに受容したこと、寺院の造営にあたっては建築・造像・装飾などに最新技術が用いられていたこと、古代寺院の多くは平安時代中・後期頃に消失したことなど、鳥取県内の古代寺院の歴史や特徴について、わかりやすく解説していただきました。  

 また、軒丸瓦の蓮華文様のキズによって、同じ笵型(文様の型、粘土を押し当てて同じ文様を大量に制作する)から作られた瓦を判別することができ、そのキズの形状や数から瓦の作成順、さらに同笵瓦の出土する寺院の先後関係を知ることができることや、上淀廃寺の塔跡では、焼けた瓦の層の下に焼けていない瓦の層があることから、伽藍炎上の前にすでに瓦が堆積するほど荒廃していたと考えられることなど、興味深いお話も多く、参加された方々には考古学や鳥取県の歴史に関する関心を一層深めていただいたものと思います。

 なお、開催を延期しておりました第1回の講座「森と生きた人々-鳥取県の遺跡から―」(講師:中原計氏〈鳥取大学地域学部准教授〉)を、令和5年3月4日(土)午後1時30分から、とりぎん文化会館の第1会議室にて開催します(定員80名、先着順)。参加希望の方は、専用フォームからお申し込みください。

第3回講座写真
中原斉先生による講演の様子

公文書館 2022/11/14 in 県史活用担当,講座などのイベント

2022年11月7日

職員対象の資料修復研修会を開催しました。

 公文書館では破れや虫喰いなど修復を必要とする紙資料について、軽易なものは職員が修復作業を行っています。
 そのスキルアップのため、10月26日、27日の両日、南部町在住の修復家・秦博志さん(Hata Studio経営)にお出でいただき、講義と実務指導をしていただきました。

講師・秦博志氏(修復家・修復工房Hata Studio経営)
講師・秦博志さん(修復家・修復工房Hata Studio経営)


 はじめに、紙の「糸目」と「簀の目」(すのめ)について、それぞれの特徴や、特徴を生かした製本の仕方などのお話を詳しく教えていただきました。紙の厚さについても様々あり、修復をする際に、和紙を使い分けると仕上がりも美しいなどのお話や、欠落部分を先に補修してから裏打ちをするなど一手間かける方法なども伺いました。

 さらに、紙のPHを測る方法や、脱酸の方法なども講義していただきました。

 続いて、製本の方法のひとつとして、「くさり綴じ」を習いました。「くさり綴じ」は本来、綴じの初心者が習う方法ではないらしいのですが、既に裏打ちをした429丁のバラバラの簿冊はかなり厚みもあり、特別に教えていただける事になりました。7つに分けてそれぞれを仮綴じし、穴を開けてから全部合わせて4本の針で綴じていく方法です。厚みがあるので、ずれないように穴を開けるのが大変でした。

 さらに、「三つ目綴じ」の方法を教えていただきました。「三つ目綴じ」は穴も3カ所なので比較的簡単です。解いたりまた綴じたりも容易にできるので、すぐにも使えそうな方法でした。

「くさり綴じ」の完成した資料
「くさり綴じ」の完成した資料



 最後に参加した職員の感想を紹介します。
  • すべて裏打ちをすると厚くなってしまうため、欠落部のみ補修するやり方など、細かい部分まで教えていただき大変勉強になった。今後の業務に少しでもいかせたらと思う。
  • 見学時には出来そうだった作業も、実際に行ってみると、非常に繊細で細やかな作業がたくさんあり、簡単ではないことを痛感した。
  • 綴じを教えていただくのは初めてで、とても勉強になった。また、元の状態に戻せる補修を心がけることが大切と言われ、自分の作業のやり方を見直したいと思った。
  • 資料の状態によって適切な方法が異なるということ、修復するときはあとからでも元の状態に戻せるようにすることなど、保存・修復にあたっての大切な考え方、資料を適切に保存するための技術を教えていただき、学びの多い時間になった。

 少人数での研修だったため、細かい部分まで詳しく教えていただけて、大変有意義な研修会となりました。

 御指導いただきました秦博志さんには、厚くお礼申し上げます。

公文書館 2022/11/07 in 公文書担当,講座などのイベント

2022年10月12日

令和4年度「倉吉博物館講座」で当館専門員が講演しました。

 令和4年10月1日(土)、倉吉博物館主催の講座が開催され、「昭和の合併と倉吉市誕生の歩み」と題して、当館の伊藤康専門員が講師を務めました。

 10月1日は、ちょうど倉吉市制が始まった日にあたり、30名にご参加いただきました。

 講座では、倉吉周辺町村の合併や編入に至る過程を、当館所蔵の公文書や図面を駆使して、分かりやすく解説しました。

 参加者からは「昭和4年の倉吉町と上灘村の合併から詳しく丁寧に説明いただき、倉吉市の誕生の流れがよく分かった」「林野の所有権(財産区)を残しての合併が現在も残っているとの話を聞き、興味深かった」との感想をいただき、改めて倉吉市制の歴史を深く学ぶ機会となりました。

講座会場の様子
講座会場の様子


講座の様子(伊藤専門員)
講座の様子(伊藤専門員)

公文書館 2022/10/12 in 公文書担当,講座などのイベント

2022年10月11日

「新鳥取県史を学ぶ講座『考古学研究による新しい歴史像』(第2回)「因幡・伯耆の古墳時代」を開催しました。

 令和4年10月2日(日)、鳥取県立博物館講堂において、新鳥取県史を学ぶ講座『考古学研究による新しい歴史像』(第2回)を開催し、鳥取大学教授の髙田健一先生に「因幡・伯耆の古墳時代」というテーマでご講演いただきました。
 
 ご講演の中では、鳥取平野の前期古墳について、顔料が塗られた遺骨や、骨の位置が上下・左右逆の状態で発見され、亡くなってしばらくして白骨化した後で埋葬されたと考えられ、さらに遺体の頭部を安定させるための土器枕が同じ棺内で複数発見されることから、一つの棺に複数の遺体が葬られた古墳が多く存在すると推測されることや、これらの習俗が弥生時代にはなく、古墳時代になってからのものであることをわかりやすく解説していただきました。

 また、古墳時代中期に農業生産や手工業生産を担う有力家族によって、70年から80年にわたって代々築かれたと考えられるイザ原古墳群(倉吉市)では、築造空間が減少するにつれ、規模がだんだん小さく、形状も歪になることから、古墳の大きさ・形から葬られた人たちの関係をうかがうことができるなど、興味深いお話も多く、参加された県民の方々は、考古学や鳥取県の歴史に関する関心を一層深めていただいたものと思います。(詳しく知りたい方はブックレット23をご参照ください)。

 次回(第3回)は米子市経済部文化観光局文化振興課専門官の中原斉先生をお招きして、「白鳳・天平文化の華―因幡・伯耆の古代寺院―」と題してお話をしていただきます。11月6日(日)午後1時30分から、県立博物館講堂にて開催します(定員80名、先着順)。参加希望の方は、専用フォームからお申し込みください。

髙田健一先生による講演の写真
髙田健一先生による講演の様子

公文書館 2022/10/11 in 県史活用担当,講座などのイベント

2022年4月8日

鳥取県災害アーカイブズシンポジウムをオンライン開催しました。

 令和4年3月5日(土)、「鳥取県災害アーカイブズシンポジウム 歴史資料にみる鳥取県の災害―過去に学び、未来に生かす―」を、オンライン形式にて開催しました。はじめに、新潟大学名誉教授の矢田俊文氏に基調講演として「近世における因幡・伯耆の地震・台風・疫病」という演題でお話いただき、次に当館専門員の藤澤匡樹が「鳥取県におけるスペイン風邪の流行(1920年1~3月)―鳥取県立公文書館作成「鳥取県流行性感冒(スペイン風邪)新聞記事データベース」活用の試み―」という演題にて関連報告を行いました。

 矢田先生のご講演は多岐にわたる論点を扱った密度の濃いものとなり、大変に参考となりました。今後とも皆さまのご理解・ご協力を賜りつつ、鳥取県災害アーカイブズ事業を進めていきたいと考えています。

災害アーカイブズシンポジウム写真
シンポジウムの様子

公文書館 2022/04/08 in 県史活用担当,講座などのイベント

2021年12月10日

新鳥取県史を学ぶ講座 第4回「因幡・伯耆の戦国文書と史料編纂所の活動」を開催しました。

 令和3年12月5日(日)、県立博物館講堂において、「新鳥取県史を学ぶ講座「西国の戦国時代と因幡・伯耆の人々」第4回を開催しました。
 
 今回は東京大学史料編纂所准教授の村井祐樹先生をお迎えし、「因幡・伯耆の戦国文書と史料編纂所の活動」というテーマでお話しいただきました。
 
 はじめに東京大学史料編纂所の活動について紹介があり、その後、因幡・伯耆に関する戦国時代の新出史料について、写真をもとにわかりやすく解説していただきました。
 
 また、第2部のトークセッションでは、今回新たに発見された吉川元春書状を中心に、講座の内容をさらに深く掘り下げ、1点の古文書から浮かび上がってくる緊迫した因幡の戦国時代の歴史について理解を深めました。  

 当日は、オンライン配信も含めて、多くの県民の方々に御参加いただきました。  
 次回は3月20日(日)に、大阪大谷大学准教授の馬部隆弘先生をお招きし、新型コロナ禍の影響で延期となった第1回講座を開催する予定です。 

館長
(写真1)柳楽公文書館長の挨拶


講演
(写真2)講演の様子


村井
(写真3)村井祐樹先生


トークセッション
(写真4)トークセッションの様子

公文書館 2021/12/10 in 県史活用担当,講座などのイベント

2021年11月15日

新鳥取県史を学ぶ講座 第3回「中国地域の戦国争乱と『境目』の地域の民衆」を開催しました。

 令和3年11月3日(水・祝)、県立博物館講堂において、「新鳥取県史を学ぶ講座「西国の戦国時代と因幡・伯耆の人々」第3回を開催しました。

 今回は龍谷大学教授の山本浩樹先生をお招きし、「中国地域の戦国争乱と『境目』の地域の民衆」というテーマでお話をいただきました。

 兵農未分離の戦国時代には、戦線地域の民衆たちも軍事力の一端を担っていて、戦争協力の見返りに年貢の半分を免除される「半納(はんのう)」などの特権を得ていたこと、領主と一緒に城に立て籠もった敵方の民衆に対しては、目の前で稲や麦をなぎ倒す「稲薙・麦薙(いねなぎ・むぎなぎ)」などの心理的ダメージを与える戦法も見られたことなど、民衆たちの活動にスポットを当てて、山陰地域の戦国時代の歴史の一面を具体的にわかりやすく解説していただきました。

 当日は、オンライン配信も含めて、多くの県民の方々に御参加いただきました。

 次回の講座は12月5日(日)に、東京大学史料編纂所准教授の村井祐樹先生をお招きして、「因幡・伯耆の戦国文書と史料編纂所の活動」と題してお話をしていただきます。
 会場での受講は定員に達しましたが、オンライン受講については申込み受付中です。是非御参加下さい。

講演写真
(写真1)山本浩樹先生による講演の様子


トークセッション写真
(写真2)トークセッションの様子

公文書館 2021/11/15 in 県史活用担当,講座などのイベント

2021年11月1日

令和3年度「倉吉市生涯学習講座」で当館専門員が講演しました。

 令和3年10月17日、倉吉市にて同市教育委員会主催の令和3年度生涯学習講座「答えのない時代を生きる私たち」第2回「史料から読み解く感染症―スペイン風邪を中心に―」が開催され、藤澤専門員が講師をつとめました。

 新型コロナウイルス感染症対策にご協力頂いた上で、多くの方にご参加頂きました。

 当館県史活用担当が昨年度に作成した「鳥取県流行性感冒(スペイン風邪)新聞記事データベース」や、そのもとになった、大正時代の新聞記事(※鳥取県立図書館所蔵)の画像などを提示しつつ、感染者・死亡者数だけでなく、当時の感染対策や社会の雰囲気などを含めた、県内でのスペイン風邪流行の全体像を説明しました。

講座写真1
講演の様子【写真提供:倉吉市教育委員会】

講座写真2
藤澤専門員【写真提供:倉吉市教育委員会】

公文書館 2021/11/01 in 県史活用担当,講座などのイベント

2021年10月19日

新鳥取県史を学ぶ講座 第2回「山陰地域の戦国時代と東アジア世界」を開催しました。

 令和3年度、公文書館では県立博物館との連携事業として「新鳥取県史を学ぶ講座 西国の戦国時代と因幡・伯耆の人々」を実施しています。去る10月10日(日)、鳥取県立博物館講堂において、島根大学教授の長谷川博史先生による講座「山陰地域の戦国時代と東アジア世界」を開催しました。

 16世紀の石見銀山を中心とした銀の産出量の爆発的な増加にともなう東アジア経済圏のグローバル化の中に山陰地域も組み込まれて、それが戦国時代の因幡・伯耆の戦争の広域化や大規模化につながったという内容で、鳥取県の中世史研究に新しい視点を提示していただきました。

 当日は、オンライン配信も含めて、多くの県民の方々に御参加いただきました。

 なお、本講座は計4回を予定しており、次回は11月3日(祝)に、龍谷大学教授の山本浩樹先生に「中国地域の戦国争乱と『境目』地域の民衆」のテーマでお話をしていただきます。どうぞご期待下さい。(会場での受講は定員に達しましたが、オンライン受講については申込み受付中です。)

講演会写真1
(写真1)講演会の様子

講演会写真2
(写真2)トークセッションの様子

公文書館 2021/10/19 in 県史活用担当,講座などのイベント

2021年7月21日

第2回「高校生のための古文書ワークショップ」を開催しました。

 令和3年7月18日(日)、県立博物館にて、第2回「高校生のための古文書ワークショップ」を開催しました。

 これは、郷土の歴史を学びたい、大学等で歴史学を専攻してみたいという生徒や、学芸員など歴史に関わる職業に関心のある生徒を対象に、江戸時代以前の古文書の原本に触れて扱い方を学んだり、くずし字を読み解いて古文書の内容をまとめる体験を通して、ふるさとの歴史に対する理解を深めたり、今後の進路選択に役立ててもらおうというもので、今回は10名の高校生たちが参加してくれました。

 はじめに、古文書を扱う際の留意点等について職員からの説明があり、そのあと実際に中世・近世の古文書に触れて、法量を採寸したり、形状や特徴を調査カードに記入して、調書を作成しました。 

写真1
(写真1)古文書を丁寧に開いて熟覧し、調書を作成


 次に4つのグループに分かれて、くずし字の解読に挑戦しました。わからない文字は辞典を引いたり、グループ内で相談したりして、熱心に解読に取り組んでいました。 

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(写真2)辞書を使ってくずし字の解読に挑戦

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(写真3)難読文字は相談しながら解読


 その後、展示用のキャプション(解説文)作成を行い、グループで話し合いながら解読した古文書の内容をまとめて、キャプションを作成しました。そして最後に、担当した古文書の内容についてグループごとに発表しました。

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(写真4)話し合いながら内容を読み解き、キャプションを作成

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(写真5)全体の前でグループごとに発表


 古文書に触れたり、くずし字を読んだりするのは、全員が初めての体験でしたが、グループで和気あいあいと取り組み、キャプション作成でも質の高い内容をまとめ上げていました。参加した高校生からも「本物の史料に触れることができ、貴重で有意義な経験となった」「難しい1字が読めたときの喜びは大きかった」等の感想が寄せられました。

 これからも、ふるさと鳥取への愛着や誇りの醸成、地域の歴史・文化を担う人材の育成という観点から、学校現場や教育委員会と連携を図りつつ、このような取り組みを進めていきたいと思います。 

公文書館 2021/07/21 in 県史活用担当,講座などのイベント

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