2026年3月27日
3月22日(日)午後2時から鳥取市歴史博物館地下1階まなびのひろばで、「占領期の鳥取を学ぶ会活動報告会」を開催しました。昨年8月の米子市立図書館での報告会に続き、今年度2回目の報告会となります。県内外から49名もの方に参加いただきました。

(写真1)今回の会場は鳥取市歴史博物館(やまびこ館)でした

(写真2)樗谿公園の梅も見頃です

(写真3)報告会の様子
最初の発表は、澤田晶子さんの「軍政部活動報告書の翻訳史: 全国各地の取り組みから 「占領期の鳥取を学ぶ会」まで」です。解読の重要性や難しさとともに、全国各地の報告書の解読状況や先行研究が紹介されました。
当時鳥取市で生産されていた木造組立住宅が福井地震(1948年)の復興に利用された可能性があることを例に、各地の報告書を読み比べることで点的に理解していたものが立体的な広がりを期待できる、とのお話は新鮮でした。

(写真4)澤田晶子さんの報告
2番目は藤山夏波さんが「鳥取軍政部活動報告書をきっかけに、当時の人々の生活にふれる」の題で発表しました。鳥取市の聖神社神幸祭(ひじりさん)の移り変わりを軍政部活動報告書からだけでなくその後の新聞記事も使って調べ、戦後の民主化の中で、神社が置かれていた経済的な苦境や祭礼への寄付に対する態度の変化などを考察したものです。なじみの深いお祭りも、占領期には様々な視点で捉えられていたことに気付かされました。

(写真5)藤山夏波さんによる発表
3番目の田中健一さんの「鳥取に炭鉱があった⁇占領期の鳥取の鉱山の動向」は、現在の日南町にあったクロム鉱山や鳥取市の酸性白土など、軍政部活動報告書に登場する鉱山に関するものでした。
中でも、戦後のエネルギー需要の高まりの中、占領期に大いに期待されながら資金難などの理由で数年間の稼働で閉山された浦富(岩美町)の炭鉱についての詳しい説明が興味深く、まだまだ埋もれた事実がたくさんあることを感じました。

(写真6)田中健一さんによる発表
発表の最後は、西村芳将さんによる「英領インド・パンジャブ部隊の活動」です。鳥取県の占領軍の主力であった彼らが1947年に、イギリスからの分離独立により、出身地に帰国したことが語られました。
発表の中で紹介された、岩倉(鳥取市)の兵営での、近所の子どもたちと笑顔で写る写真や、エネルギッシュなイスラム舞踊の動画は、その後の死者100万人以上ともいわれる分離独立時の悲劇的な混乱のことを考えると、鳥取での束の間の安らぎを切り取ったようで、切ない思いがしました。

(写真7)西村芳将さんによる発表
活動報告会の後半には特別企画として、『森の泣蟲坊や(もりのなきむしぼうや)』という漫画映画の上映を行いました。フィルムを所蔵する神戸映画資料館の安井喜雄館長と鳥取の映画文化を研究されている鳥取大学地域学部の佐々木友輔准教授にも御登壇いただきました。
この映画を上映することになったのは、鳥取市内にあった漫画製作所で作られた『モリノナキムシコゾウ』という漫画映画の記事が鳥取軍政部活動報告書の中にあり、澤田さんの熱心な調査と安井館長の御協力によって、神戸映画資料館によく似たタイトル(監督も同じ人の可能性がある)の映画が保管されていることが判明したからです。鳥取県内では初上映となります。
映画自体はどこか稚拙な印象をうける約6分の短い作品です。少年がタヌキたちによって化かされてお城で夢のような時間を過ごすという内容なのですが、現代のアニメとは表現が異なるところもあり、初めて見る人が内容を理解するのは少し難しいと思われます。ということで、まず予備知識なく見ていただいた後で、御登壇のみなさんの解説とともに、繰り返し、時にはコマ送りして鑑賞していただきました。見れば見るほど新たな発見があり、とても楽しい上映会でした。この映画について何かご存じの方は、是非情報をお寄せください。
令和8年度の開催概要は「占領期の鳥取を学ぶ会」ページにてご確認ください。

(写真8)神戸映画資料館所蔵『森の泣蟲坊や』の上映
公文書館 2026/03/27
in 県史編さん室,講座などのイベント,調査
2026年3月6日
令和8年2月21日(土)午後1時30分から4時まで、令和7年度10回目の2月例会を開催しました。
最初に、前回質問があったことなどに関しての調査結果の報告がありました。
前回の例会で職業安定所があったのではないかとされた建物「櫻会館」は、大衆娯楽場とするため県から実業家が賃借しダンスホールや喫茶としていた場所ということです。図書館講堂に置いていた職業安定所と労政事務所をこの建物に移転するため県が明け渡しを要求したところ拒まれたが、軍政部も明け渡しを指導し補償金を支払って移転したということで、戦後の建物不足や混乱した状況が分かりました。

(写真1)鳥取大火の時の櫻会館付近の写真を見て話をする会員

(写真2)櫻会館の新聞広告では、ダンサーや喫茶ガールが募集されていました
また、前回の報告書の中の表現から“中国四国10県”、“中国6県”といった言い方があったのかということについても報告があり、当時の畜産共進会や中国弁護士会は今の中国5県に兵庫県が加わって中国6県という言い方をしており、国会の委員会でも中国6県の知事と使用されていたということです。中国という名称は古代から用いられ秀吉の中国大返しも有名ですが、その範囲は占領期においては、現在と異なっていたことがよくわかりました。
軍政部活動報告書の解読は、今月から昭和24年4月分に入り、今回は「政治・行政」「公共福祉」の項目を解読しました。
今回の解読でも興味深かった点がいくつかありました。一つ目は県の地方事務所の再編です。6つあった地方事務所を3つに統合する案が計画されたということで、元県職員の会員から「当時、3つにする案があったとは思わなかった」と驚きの声があり、県の公報で昭和27年4月の条例により地方事務所が実際に3つになったことが確認できますが、その後にまた新たな地方事務所が設置され、増えています。

(写真3)県の機構改革で3支庁案を再確認の新聞記事を見て驚く会員
鳥取市長補欠選挙の記載では、よりふさわしい地元の数名に立候補を呼びかけたが、公職者に対する非難が続いていることを理由に誰一人として出馬に同意しなかったという内容があり、なぜ同意しなかったのか、当時の社会状況がどういったものだったのか、今後明らかになればと思います。

(写真4)鳥取市長補欠選挙の内容について解読する会員
次回3月22日(日)は、これまでの鳥取軍政部活動報告書の解読から見えてきたものを発表する報告会を開催しますので、興味を持たれた方はぜひお越しください。参加お申込みは、鳥取市歴史博物館までお願いします。
公文書館 2026/03/06
in 県史編さん室,講座などのイベント,調査
2026年2月27日
令和8年2月19日(木)に、県史編さんに関する調査及び文書管理状況の調査のため、岩美町を訪問しました。南部町・琴浦町・日南町・日野町・北栄町に続き、本年度6回目の市町村調査です。

(写真1)岩美町庁舎
今回は、岩美町役場の庁舎内と車庫棟2階の書庫の収蔵資料を確認させていただきました。庁舎内書庫には、主に昭和の市町村合併が行われた昭和29年以後の公文書が教育、福祉、農林水産業、建設などに分類・整理されていました。

(写真2)書庫調査の様子
特に、網代・田後港という漁港を母港とする沖合底引き網漁業が岩美町の基幹産業である水産業の中核をなしていることから、こちらに保管されている公文書は県史編さんにとっても重要な資料になるものと思われます。また、第二次世界大戦後の農地改革の関係資料も残っており、今後の研究・執筆に大いに有益なものと考えます。
車庫棟2階書庫には、平成の大合併、国際交流、新型コロナウィルス禍などが保管されており、今後、いずれも詳細に調査したく思います。
なお、庁舎内書庫には、江戸時代の天保年間や明治四年に作成された田畑の絵図面も保管されていました。江戸時代以降の農地の区画の変遷を知ることのできる貴重な資料です。

(写真3)古地図等も保管されていました
以上のように、県史編さんに活用できる資料を多く確認することができました。資料を見つけた喜びと興奮で、予定していた調査時間をオーバーしてしまいました。

(写真4)岩美町担当者に聞き取り
公文書館 2026/02/27
in 県史編さん室,公文書担当,調査
2026年2月16日
令和8年1月24日(土)午後1時30分から4時過ぎまで、雪の残るやまびこ館で、令和7年度9回目の1月例会を開催しました。

(写真1)やまびこ館の周りも雪がありました
まず、前回質問があったことに関しての調査結果の説明がありました。旭製紙のその後や、労働基準監督署があった場所について詳しい説明がありました。

(写真2)前回の宿題 労働基準監督署の場所の地図
軍政部活動報告書の解読は、引き続き昭和24年5月分に取り組みました。「造船」「学校視察」「社会教育」「食糧増産」などの項目を解読し、5月分を終了しました。
今回の解読範囲で特に興味深かった点が2つありました。
一つ目は新制中学発足時の混乱です。国がインフレ収束を目的に補助金を削除したことで、各地で校舎建築の放棄や市町村の財政破綻が起き、社会問題化したことが説明されました。
もう一つは婦人団体についてです。当時、鳥取県と鳥取市にはそれぞれ婦人団体がありましたが、県の団体が家庭婦人を中心としたのに対し、市の団体が主に職業婦人で構成されたため、争議などをめぐって、活動の方向性に違いがありました。
戦後の民主化の過程で起こったこの様な混乱は、現在編さんが進められている『鳥取県史通史編・現代』の中でも重要なポイントになるのではないかと思いました。

(写真3)当時の写真に見入る会員の皆さん
雪の積もる中、今回も県外から大学院生の参加がありました。鳥取大火(昭和27年)の記事を当時神戸で発行された新聞で探し出し、コピーを持参してくださいました。県内の会員のみなさんも、初めて見る記事に興奮していました。

(写真4)県外の新聞を持ってきていただきました
占領期の鳥取を学ぶ会では県内はもちろん、県外からの参加も大歓迎です。春はもうすぐです。鳥取にも来ていただきやすくなりますので、興味を持たれた方はぜひお越しください。
公文書館 2026/02/16
in 県史編さん室,講座などのイベント,調査
2026年1月27日
令和8年1月14日(水)に、県史編さんに関する調査及び文書管理状況の調査のため、北栄町を訪問しました。南部町、琴浦町、日南町、日野町に続き5回目の市町村調査です。
今回は、北栄庁舎内の書庫及び北栄みらい伝承館の収蔵資料を確認させていただきました。庁舎書庫には、農業構造改善事業、旧北条町・大栄町の合併、「コナンの里づくり」計画、新型コロナウィルス禍など、昭和50年代以降の公文書が分類別に整理・保管されていました。
また、北栄みらい伝承館では、明治以降の下北條・中北條村の議会関係文書、戦時中の配給関係事務文書、旧北条町の昭和の町村合併関係資料、戦後の教育委員会委員選挙関係資料など、旧北条町域に関わる貴重な資料が収蔵されていることを確認しました。
内容の確認は後日になりますが、それぞれの文書や資料に、何が記されているのか、新たにどんなことが分かるのかを想像、興奮しながら調査を行いました。

(写真1)北栄町庁舎

(写真2)資料調査の様子

(写真3)北栄みらい伝承館

(写真4)北栄みらい伝承館での資料調査の様子
公文書館 2026/01/27
in 県史編さん室,公文書担当,調査
2025年12月27日
12月20日(土)午後1時30分から4時過ぎまで、やまびこ館で、令和7年度8回目の12月例会を開催しました。

(写真1)例会の様子
まず、前回の質問や不明点に関して、婦人少年局鳥取職員室のfield representativeという役職については、当時の鳥取職員室に労働省から派遣された官僚身分の人がいないため、地元採用の職員と思われるという説明がありました。
会員から、「労働とっとり」創刊号(1949年3月)に事務官として載っている女性がそうではないかとの声があり、別の資料の記載からもその人の可能性がありそうです。無機質な英語の役職名が親しみをもって感じられることになりました。

(写真2)澤田さんの説明
軍政部活動報告書の解読では、引き続き昭和24年5月分を行い、「林業」「鉱業」「運輸」「重要産業の刺激策」などの項目を解読しました。
今回の大きな話題は、神戸村(現鳥取市)にあった酸性白土の鉱床についてです。酸性白土は石油精製やせっけんの原料に使われた粘土鉱物で、現在は猫砂にも使われています。今回から参加された方に、たまたまこの地区の方がいて、地質や戦時中の遺構などについていろいろなお話を聞くことができました。
もう一つ興味深かったのは、闇米の話でした。解読分の中では、列車で押収した闇米の行き先が兵庫県の(A?)garimichi Cityと記されています。どこか大きな闇市があった場所と思われるのですが、見当がつきません。「尼崎かな?」「上道は境港の地名だから聞き間違い?」などなど。何かピンとくる方がいらっしゃったら、ぜひお知らせください。
このように、占領期の鳥取を学ぶ会には謎解きのような楽しさもあります。どなたでも参加いただけますので、興味を持たれた方はぜひお越しください。

(写真3)当時の新聞記事の紹介

(写真4)当時の新聞記事について横山学芸員より説明
公文書館 2025/12/27
in 県史編さん室,講座などのイベント,調査
2025年12月19日
令和7年12月17日(水)に、県史編さんに関する調査及び文書管理状況の調査のため、日野町を訪問しました。南部町、琴浦町、日南町に続き4回目の市町村調査です。
庁舎内の書庫及び日野町図書館、歴史民俗資料館の収蔵資料を確認させていただきましたが、明治末以降の役場関係文書や鳥取県西部地震、平成の市町村合併、新型コロナウィルス禍といった平成以降の重大事件に関わる公文書など、町の歴史的に重要な公文書等であるとともに、県史編さんに有益な資料が多く保管されていました。
また、江戸時代の検地帳、明治時代以降の鉄道敷設・改良に関わる資料等も多数保存されており、鳥取県の歴史研究を一層発展させていくことができる資料に、調査員一同、興奮しながら調査を行いました。

(写真1)様々な資料が保管されていました

(写真2)一つ一つ目を通していきます

(写真3)日野町図書館内書庫

(写真4)歴史民俗資料館
公文書館 2025/12/19
in 県史編さん室,公文書担当,調査
2025年12月11日
令和7年11月19日(水)に、県史編さんに関する調査及び文書管理状況の調査のため、日南町を訪問しました。南部町、琴浦町に続き3回目の市町村調査です。
役場庁舎と郷土資料館を訪問し、今回も様々な文書の所在を多数確認できました。
特に、終戦から昭和30年代の旧村役場文書が大量に保管されており、県史編さんにおいて重要な資料になり得るものもありました。
今後も雪や寒さに負けず精力的に調査を継続していきます。

(写真1)日南町庁舎

(写真2)調査の様子

(写真3)日南町郷土資料館

(写真4)資料館での調査の様子
公文書館 2025/12/11
in 県史編さん室,公文書担当,調査
2025年11月11日
令和7年10月28日(火)に、県史編さんに関する調査及び文書管理状況の調査のため、琴浦町を訪問しました。南部町に続き2回目の市町村調査です。
庁舎内の書庫だけでなく、公文書の保管場所である旧保育園などにもお伺いして多数の文書の保存状況を確認しました(担当者はこちらの保育園に通っていたのでなんだか懐かしい気分でした)。
琴浦町では、農業や畜産に関する文書が多数保存されており、農業や酪農が盛んなこの町の特色が表れていると感じました。

(写真1)琴浦町役場

(写真2)資料調査の様子
公文書館 2025/11/11
in 県史活用担当,県史編さん室,公文書担当,調査
2025年10月16日
令和7年9月24日(水)に、県史編さんに関する調査のため南部町を訪問しました。県史編さん事業がスタートして初めての市町村調査です。
この調査では、市町村合併やコロナ対応についての文書を中心にどんな文書が保管されているのかを役場庁舎の書庫に入って確認します。南部町では、旧会見町と旧西伯町が合併する際の行政文書が多数保存されていました。
来年度末までに全19市町村での調査を終えることを目標に、今後も県内市町村を訪問します。次はあなたのお住まいの市町村にお伺いするかも…⁈

(写真1)南部町役場 法勝寺庁舎

(写真2)調査の様子
公文書館 2025/10/16
in 県史編さん室,調査