新しい介護の形を作る
２０代の頃、慣れない土地で子育てと介護を同時に経験。その時に味わった葛藤や苦悩が起業につながった。
看護師や介護士の資格を持つスタッフが、病院受診や外出の付き添い、訪問などを行う、介護保険適用外サービス『わたしの看護婦さん』。利用時間やサービス内容に制約がある介護保険だけでは、介護と仕事や生活の両立に悩む人を支えきれないと感じ、２０１４年に事業を立ち上げた。
「私自身、苦しい思いをしたし、今まさに友人たちが同じように悩んでいる。誰もやらないなら、私がやろう、と」。周囲には、自分と同じく看護師の資格を持ちながら生かしていない友人や、退職後、地域に埋もれていたベテラン介護士がいた。そんな仲間たちと、一歩を踏み出した。
現在は介護保険サービスも提供し、東京・大阪などにも事務所を開設。その原動力は、「私たちを待っていてくださる利用者や家族の皆さんと、この仕事を好きでいてくれるスタッフの存在」だ。
現在、登録スタッフは約２０人。勤務形態はそれぞれの希望に応じて柔軟に設定し、子どもの看病で急に休む場合は皆でカバーし合うなど、仕事と生活を両立できる働き方を重視している。
近年、いわゆる老老介護や遠距離介護が増え、介護離職も後を絶たない。「今や介護は女性の仕事ではなく、男女が性別を超えて支え合わなくてはならない。それが働きやすさにもつながる」。走り続ける先には、数十年先の未来を見据える。「将来、私たち自身が受けたい介護を実現するためにも、新しい介護の形を作っていきたいと思う」
【写真説明】スタッフと打ち合わせをする神戸さん（右）
[平成３０年１２月２１日（金）日本海新聞掲載]