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根鈴 啓一さん

[根鈴 啓一さん]

【PROFILE】

1977年生まれ。首都圏で人材育成関連企業の広報部門責任者として経験を積んだのち、2017年に鳥取県北栄町にUターン。家業であった「花屋」を軸としながら、新たな事業展開に挑戦している。「とっとりスタートアップキャンプ2019」ファイナリスト。

  

「花 ×(かける) ○○」で愛される花屋に

ー まずは根鈴さんの行っていらっしゃる事業について教えていただけますでしょうか?

<根鈴さん>

業種としては花屋をやっています。しかし、ただ単に「花を売る」というだけでなく、「花」もしくは「花屋」を起点としたサービスを提供しています。

 

ー 「『花』や『花屋』を起点としたサービス」とはどういうことでしょうか?

<根鈴さん>

国内の花の市場は1兆円規模だと言われていますが、実はそのシェアの多くは日本各地にあるいわゆる「町の花屋」さんが分け合っているという構図なんです。そのため、多くの花屋さんが「需要に対して花を供給する」ことを生業としていて意外と差別化がされていない。

ただ、今後日本の人口が減っていく中で市場も縮小していくことを考えると、我々花屋も受け身ではなく、常に「提案型」でお客様にサービスを提供し続けることが重要だと考えています。

例えば、様々なテーマで花に触れてもらうフラワーアレンジメントのワークショップを行ったり、また今年は新型コロナの影響により全国各地でお花見が中止になったことから、卓上に置いて楽しめる花見キットを販売するなど、新しい取組を行うことでお客様に喜んでいただいています。

花見キット

[花見キット]

  

「これからは地方が面白くなる!」とUターンを決意

ー Uターンされたきっかけを教えていただけますか?

〈根鈴さん〉

もともとは首都圏でITやデジタルコンテンツにかかわる人材を育成する企業に勤めていました。そこでは主に広報部門の責任者として、外部に自社の公式見解を発表する役割を担っていました。

そういった役割を担う中で、単に与えられた見解を発表するのではなく、自身も常に研究・勉強していくようになっていきました。

 

ー 具体的にどのようなことを研究されていたのでしょうか?

〈根鈴さん〉

デジタルコンテンツにかかわる企業でしたので、「テクノロジーによって10年~20年先の未来がどうなるか」ということを掘り下げていました。そういったことを考える中で、これからの日本は「地方が面白くなる!」というふうに考えるようになりました。

今後の世界は「経済成長の時代」から「人間の時代」になると思っています。ロボットやAIがこれまで人間が行っていた作業をやってくれることで余暇時間が増え、より人間らしく生きるために「エンターテインメント」や「自然」などに一層魅力を感じるようになると思うんです。

そうした中で、手つかずの、ある意味「レア度が高い」地方の価値は今後より高まっていくと思いますし、地方で「花屋」という人間的な商品を扱う実家の家業を継ぐというのは、すごく面白いし意義深いことなのではないかと思い、Uターンすることにしました。

根鈴さん [取材を受ける根鈴さん]

  

「お客様の満足」のために業務効率化を考える

ー Uターンされた直後のお話を聞かせてください。

<根鈴さん>

2017年に地元に戻り、最初は自身の会社がどのように動いているかについて、経営的な数字と実態の両面の動向をじっくり観察することから始めました。自分は花屋としては素人だったため、固定観念もなく業務を見ることができたと思います。

その中で自社の課題として、業務フローを効率化させる必要性とその難しさを強く感じるようになりました。

 

ー なぜ業務効率化を意識されるようになったのでしょうか?

<根鈴さん>

コストを下げるということ以上に、従業員のみんなにお客様のことをしっかりと見てそれぞれが自主的に新しいアイデアを考えてもらう時間をとってもらいたいという思いからです。日々の単純労働に埋もれて、お客様が何を求めているかを考えられなくなれば本末転倒です。

私の前職がITにかかわる仕事だったため、今は少しずつ業務フローの中にデジタルの部分を入れつつ、アナログから完全にスイッチしづらい業務については無理に切り替えることはせず、ある程度柔軟に業務効率化を進めている状況です。

 

花束  [花束]

 

  

「とっとりスタートアップキャンプ」で得られたもの

ー とっとりスタートアップキャンプに参加された経緯を教えてください。

<根鈴さん>

帰郷した当時からとっとりスタートアップキャンプのお話は伺っていました。興味はあったものの、一定期間は事業の引継ぎに専念する期間として考えていましたので、ある程度引継ぎも落ち着いてきた2019年に「新しい視点で自身の事業を評価してもらいたい」と思い、キャンプに参加することを決めました。

 

ー 実際に参加されていかがでしたか?

<根鈴さん>

私はとても楽しかった記憶が残っています。まず様々な業種のメンターさんにご指導いただけたのが良いところでした。県外の目線でご覧になる方、県内で物販をされている方、デザインに造詣の深い方など、各メンターさんのバックグランドが幅広いことにより、いろいろな観点で事業について指摘していただけるのはとてもありがたかったです。

また、メンターさんから「なぜあなたはこの事業をやりたいのか?」という本質的な質問をいただいたのがとても記憶に残っています。ある意味根本的なことですが、そこからさらに自分自身を深く掘り下げて、事業プランや自身のミッションを見つめなおすという経験ができたのは、非常に貴重なことだったと思います。

とっとりスタートアップキャンプでの様子

[メンターとディスカッションする根鈴さん]

  

これから起業・新事業を志す方へ

ー 最後にこれから起業を志す方や、新事業に取り組もうとする方へのメッセージをお願いします。

<根鈴さん>

新しいものをつくるためには、いつも「常識を疑う」ことを忘れないでいただきたいと思います。当社では従業員と一緒になって新しい商品のアイデアを考えていますが、花屋に慣れきるのではなく、常にお客様を観察し、お客様にどうしたら喜ばれるかを意識してもらっています。

そうした新しい発想を持てる方が増えていけば、たくさんの価値あるビジネスが生まれ、より豊かな楽しい世の中になっていくと思います。私たちもそういう方と一緒に、この鳥取県から、より良い世界を作っていければと考えています。

花工房あげたけ 店頭[店舗外観]

  

会社情報

事業所名  株式会社花工房あげたけ
所在地 〒689-2221 鳥取県東伯郡北栄町由良宿1603
連絡先 TEL  0858-37-2010
FAX  0858-37-5061
MAIL  keiichi@agetake.co.jp 
ホームページ https://agetake.co.jp/ 
  

最後に本ページの担当課   鳥取県商工労働部産業未来創造課
 住所 〒680-8570
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 電話 0857-26-7246  ファクシミリ 0857-26-8117
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