活動日誌

  
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2024年6月28日

わくわく北中-公文書館の職場体験- New!

 令和6年6月26日(水)から28日(金)まで鳥取市立北中学校の2年生が職場体験学習に取り組みました。
 以下、北中の坪井・田中が報告します。
 1日目は、写真を分類しました。昭和の終わりの町の風景や様子が見られました。窓口、レファレンス体験をしました。実際にすると、意外に手間がかかりました。

写真整理の様子
(写真1)写真整理の様子

 2日目は、古文書の修復をしました。難しかったけど、慣れると楽しかったです。

裏打ちの様子
(写真2)裏打ちの様子

 その後、引き継いだ簿冊を並べ替えました。

簿冊を並び替えている様子
(写真3)簿冊を並べ替える様子

 3日目は、古文書の解読をしました。くずし字がありました。はじめてくずし字の辞書を利用しました。

古文書の解読の様子
(写真4)古文書の解読の様子

まとめ

まとめ
 3日間の中で2日目が一番楽しかったです。その中でも特に古文書を修復するのはやりがいがありました。公文書館では、明治時代から現在のものが取り扱われていましたことを知りました。

公文書館 2024/06/28 in 館見学,県史活用担当,公文書担当

2024年6月20日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度(6月)例会を開催しました。

 今回の例会では、昭和24年1月の公共事業を含む産業や教育についての軍政部活動報告書の解読を進めました。
 会では、翻訳内容に関連し、参加者から様々な情報や体験が発表されました。 絹製糸場に関しては、県西部の参加者の方から「弓ヶ浜半島では、江戸時代には綿(伯州綿)の栽培が盛んだったが、明治中期には衰退する綿から養蚕のための桑畑への転換が進んだ。地図で見ると昭和5年の桑畑の記号の範囲が広範囲にわたっていたが、平成13年の地図では桑畑の記号の部分はなくなっている」と地図を手にして話がありました。
 また、皆生送信所に関しては、正式には美保海軍航空隊の皆生送(受)信所というがその施設の跡は現在も残っているとのことで、送信所跡地の写真が投影されました。送信所に関連し、昭和20年7月の米子市への空襲について参加者の
父親の体験談もありました。
 学校教育に関しては、「この報告書を書いた軍政部教育担当のエバンス氏がよく学校に来ていた」との話や「当時は学校へは下駄で通い校内では裸足だった。トイレがとても汚かった」との体験談がありました。
 社会教育では、「昭和24年4月に全国で始まった『婦人週間』以外に、鳥取県では国とは別にその年の1月に『女性週間』が設けられたようだが、戦前から使われてきた婦人でなく女性という言葉を用いたことは先進的だったのでは」という意見がありまし
た。
 今後も引き続き、会員皆様からの情報や体験等も参考にしながら報告書の英文解読を進めていきたいと思います。

占領期第2回例会写真1
(写真1)英文の活動報告書の解読の様子

占領期第2回例会写真2
(写真2)活発な意見交換が行われました

占領期第2回例会写真3
(写真3)地図を手に説明する参加者

公文書館 2024/06/20 in 県史活用担当,講座などのイベント

2024年6月10日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度第1回(5月)例会を開催しました。

 今年度最初の会は5月18日(土)に開催し、開会に当たり、澤公文書館長の挨拶のあと、参加者の自己紹介と会の趣旨説明を行いました。

 鳥取県内においてはGHQによる占領期の公文書等関係資料がほとんど残っておらず、占領期の軍政に関する本格的な研究を行うことができていませんでしたが、アメリカ国立公文書館に原本があるGHQ軍政部の活動報告の英文資料を国立国会図書館が所蔵していることが明らかとなり、調査研究環境が整ったことから、平成29年7月、鳥取県立公文書館と鳥取市歴史博物館やまびこ館の共催事業として「占領期の鳥取を学ぶ会」を立ち上げ、県民参加による英文の軍政レポートの解読を行って、今年で8年目となりました。

 会は、やまびこ館の横山学芸員の進行で、会員の皆さんが順番に、澤田晶子調査委員(翻訳担当)の助言を受けながら報告書の翻訳を進め、関連する当時の新聞記事や資料の紹介がありました。

 今回翻訳したのは、食糧問題や労働問題、社会福祉等幅広い内容についてでした。また、報告書の内容に関連し、会員の方から、戦後の本県の酪農の歴史や同胞援護会の行った活動内容等 、興味深い報告がありました。

 今年度も、この会での調査研究により、これまであまり知られていなかった占領期の鳥取の姿を明らかにしていきたいと思います。

第1回例会の様子
第1回例会の様子

公文書館 2024/06/10 in 県史活用担当,講座などのイベント,調査

2023年11月15日

職員対象の資料修復研修会を開催しました。

 11月7日、8日の両日、県立図書館と公文書館の職員対象の資料修復研修会を開催しました。講師は、南部町在住の修復士・秦博志さん(Hata Studio代表)です。

 

講師・秦博志さん
講師・秦博志さん(修復士・修復工房Hata Studio代表)

 

 両日とも6名ずつの参加で、同じ内容で講義と実務指導を行っていただきました。

(1) 講義

ア:資料修復の原則

 修復は必要最小限にとどめ、元の状態を壊さないこと。元に戻せる材料や方法を選ぶ必要があります。修復の際に、本紙(修復する資料)より薄い和紙を使用し、小麦粉のみで作られた正麩糊を使うのはそのためです。

 ただし極力手を加えないとは言っても、酸性紙などのように保存しているだけで自然に劣化していくものなどについては、劣化を遅らせる処理なども必要になります。

 

イ:紙の特徴

 和紙を透かして見ると、縦横に線が入っているのが分かりますが、線が濃く入っているのが「糸目」で、線が薄く入っているのが「簀の目(すのめ)」です。紙を漉く際には前後に揺するため、繊維が「糸目」に沿って並びます。そのため、「糸目」方向には裂けやすく、折り曲げやすいのです。また、水分は繊維と繊維の間に入り込むため、「簀の目」方向に伸びやすい性質もあります。これらの紙の特徴を活かして修復、製本を行うとよいとの事でした。

 

(2) 実習

ア:裏打ち

 裏打ちには「送り」と「投げ」という技法がありますが、今回は「送り」による裏打ちを行いました。糊の濃さは刷毛から糸のように垂れる程度。想像以上に薄い糊を使用します。

 

裏打ちの実習風景
裏打ちの実習風景

 

イ:食い裂きによる繕い

 食い裂きは、和紙を細くちぎって虫食いなどの部分を埋めていく技法です。先に和紙を細長くちぎったものを用意しておくと便利だということでした。食い裂きの毛羽を活かし、虫食いなどの部分を埋めていきます。糊の濃さは裏打ちより濃く、緩いジェル状です。糊付けした後は低温のアイロンをかけて乾燥させます。

 

ウ:大きく欠損した資料の繕い

 欠損部分の上に和紙を重ね、少し大きめに鉛筆で形をとり、水筆でなぞってから鉛筆部分が見えなくなるようにちぎります。本紙に糊をつけて貼り付けます(別の場所で和紙に糊をつけてから貼り付ける場合もあります)。糊の濃さは食い裂きと同じ程度です。食い裂きと同様にアイロンをかけて乾燥させます。

 

エ:切継ぎ

 糊の濃さはマヨネーズ程度。資料は糊をつける部分だけ出し、糊がつかなくて良い部分は別の紙で覆い刷毛で糊をつけて貼り合わせます。糊の水分が少ないため紙も伸びないので自然乾燥させます。

 

参加した職員の感想を紹介します。

  • 「今後、今日の学びを生かせる機会を作りたい」
  • 「どんな古い資料が出てきても、時間と手間をかければ保存できる自信がついた」
  • 「あっという間の3時間だった」
  • 皆様、お疲れ様でした。

     今回は、研修に初めて参加する職員も多かったので、基本となる裏打ちと繕いを習いましたが、一度ではなかなか覚えきれない技術です。経験したことのある職員も前回の研修から時間が経っているため、再度受講できたことで思い出す機会になったようです。

     普段の業務には直接は関係のない技術でも、知識として持っておくことは、資料と関わる上で大切なことであると実感しました。

     

     御指導いただきました秦博志さんには、厚く御礼申し上げます。

    公文書館 2023/11/15 in 県史活用担当,公文書担当,講座などのイベント

    2023年9月28日

    「新鳥取県史を学ぶ講座『鳥取県の鉄道敷設運動-山陰線の開通-』(第3回)を開催しました。

     令和5年9月24日(日)、米子市立図書館 多目的ホールにおいて、新鳥取県史を学ぶ講座『鳥取県の鉄道敷設運動-山陰線の開通-』(第3回)を米子市立山陰歴史館と共同開催しました。講師は、当館県史活用担当の石田敏紀が務めました。
     講演では、1888(明治21)年の私鉄・山陽鉄道(現、JR山陽線)「神戸-岡山」間が開業した翌年に鳥取県内各地で鉄道敷設運動がはじまったこと、1894(同27)年に陰陽連絡線「姫路-智頭-鳥取-米子-境」間の建設が決定されたが、日清・日露戦争によって工事は延期、中断されたこと、1906(同39)年に路線が「福知山-鳥取-米子-今市(現、出雲市)」間に変更、路線名も「山陰線」に改称され、1912(同45)年に「京都-今市」間で開通したことなど、山陰線開業までの経緯を解説しました。
     また、米子開催であることをふまえ、陰陽連絡線「境-米子-鳥取-姫路」間の建設決定後、県西部(特に日野郡)の人々が「岡山-津山-根雨-米子」間を結ぶ私鉄・中国鉄道の建設に尽力したが失敗したこと、陰陽連絡線が山陰線「福知山-今市」間に変更された後、「津山-根雨-米子」間の敷設運動を再開したことなど、明治時代の県西部の人々の鉄道建設への取り組みを詳しく紹介しました。
     講演後、参加者から「日清・日露戦争による建設の延期・中断など、開通までの詳しい経緯がわかった」「鉄道による地域発展を期待したことで地域間対立が生じたことがわかった」などの感想をいただきました。

    鉄道講演会写真
    講演の様子

    公文書館 2023/09/28 in 県史活用担当,講座などのイベント

    2023年7月18日

    わくわく北中-公文書館の職場体験-

     令和5年7月5日(水)から7日(金)までの3日間、鳥取市立北中学校2年生の榎さん、坂本さんがワクワク北中-職場体験学習-に取り組みました。
     新型コロナまん延防止のため、令和元年以来、3年ぶりの実施となりました。

    窓口業務の写真1

    窓口業務の写真2

     (1日目)初日は窓口業務やレファレンスを体験しました。電話も取ってもらいました。

    綴り替え作業1

    綴り替え作業2

     (1日目)古い簿冊のさびたホッチキスの針をとったり新しいひもで綴り直したり、とても丁寧に作業をしてくれ、きれいな簿冊に生まれ変わりました。これが永久に保存されます。

    キャプション作成作業1

    キャプション作成作業2

     (2日目)展示用のキャプションを作成し、展示室に貼りました。慣れないカッターナイフも上手に使っていました。

    書庫作業1

    書庫作業2

     (2日目)書庫の棚替えや引継簿冊の排架の力仕事も、疲れを見せることなくテキパキと作業をしてくれました。

    県史作業1

    県史作業2

     (3日目)古文書の文字を読んだり、掛け軸を初めて丸めてみました。また、江戸時代の鳥取藩の藩札の複製を作成しました。

    公文書館前の写真

     緊張しつつも、3日間しっかり作業をしてくれました。
     おふたりとも公文書館にははじめて来られたそうですが、これを機に公文書館の展示を見に来てくださいね。

    公文書館 2023/07/18 in 館見学,県史活用担当,公文書担当

    2023年7月12日

    「新鳥取県史を学ぶ講座『鳥取県の鉄道敷設運動-山陰線の開通-』(第2回)を開催しました。

     令和5年7月9日(日)、鳥取県立博物館講堂において、新鳥取県を学ぶ講座『鳥取県の鉄道敷設運動-山陰線の開通-』(第2回)を開催しました。講師は当館県史活用担当の石田敏紀が務めました。
     講演では、鳥取県の鉄道敷設運動の始まりから明治45(1912)年に山陰線が開通するまでの経緯について、鳥取県東部の人びとの活動を中心に解説しました。特に、明治21年の山陽鉄道「兵庫-明石」間の開業を受け、翌22年に県東・中・西部でそれぞれ兵庫県、岡山県と結ぶ私鉄建設を求める運動が始まり、その後、官設鉄道の敷設請願運動に転換するが、鉄道で県内を東西に結ぼうという意識が低かったこと、明治27年の陰陽連絡線「姫路-鳥取-境」間の敷設決定は県民の要望を考慮したものではなく、兵士の移送、知事のいる県庁所在地を重視して行われたことなどを当時の新聞記事や鉄道会議、帝国議会での議員や政府関係者の発言を用いて紹介しました。
     また、陰陽連絡線「姫路-鳥取-境」間の決定後も、鳥取県東部と兵庫県北部の人びとが連携して山陰線の敷設を請願したこと、明治39年に建設路線が山陰線「福知山-鳥取-今市(現、出雲市)」間に変更されると県東・中・西部でそれぞれ中国鉄道の津山まで結ぶ路線建設の請願運動が始まるなど、明治時代の鳥取県の人びとが自らの地域への鉄道敷設のために積極的に活動している姿を紹介しました。
     来場者からは「県の東西を鉄道で結ぼうとする意識が低かった理由は何か」、「山陰新幹線建設についてどのように考えるか」などの質問が出され、講座終了後も「若桜線の八鹿までの延伸を当時の人びとは可能と考えていたか」、「法勝寺電車など、大正期の県西部の私鉄建設について」などの質問をいただきました。来場者は15名でしたが、鉄道史に関心を持つ方が多かったようです。
     なお、第3回講座は、令和5年9月24日(日)午後2時から、米子市立図書館で開催します(定員60名〈要申込〉、申込先:米子市立山陰歴史館、申込受付開始:8月24日〈木〉午前9時30分)。第3回は、鳥取県西部の人びとの活動を中心に解説します。

    東部開催写真
    講演の様子

    公文書館 2023/07/12 in 県史活用担当,講座などのイベント

    2023年7月6日

    「新鳥取県史を学ぶ講座『鳥取県の鉄道敷設運動-山陰線の開通-』(第1回)を開催しました。

     令和5年6月25日(日)、倉吉交流プラザ第1研修室において、新鳥取県史を学ぶ講座『鳥取県の鉄道敷設運動-山陰線の開通-』(第1回)を倉吉博物館と共同開催しました。講師は当館県史活用担当の石田敏紀が務め、明治時代の鳥取県中部の人びとの鉄道敷設に向けての活動を中心に解説しました。
     講演では、鳥取県中部の鉄道敷設運動は1889(明治22)年の「倉吉-津山」間を結ぶ私鉄建設運動に始まること、翌年に株価が暴落すると私鉄建設を断念し、1891年に山陰地方で最も早く官営鉄道の敷設を政府に請願したこと、陰陽連絡線「姫路-鳥取-境」間の建設が1906年に山陰線「福知山―今市(現、出雲市)」間に変更されると、直ちに陰陽連絡線「倉吉-津山」間(のちの倉吉線)の建設に向けて動き、1912年に「倉吉-上井」間を開業させたことなど、倉吉町を中心とする中部の人びとの鉄道敷設への積極的な取り組みを解説しました。
     また、こうした活動と矛盾する「住民が反対したから山陰線は倉吉町を通らなかった」という「伝説」が生まれた理由・背景については、負け惜しみだけではなく、1911年に倉吉線・倉吉駅(のちの打吹駅)の位置を巡る倉吉町内の人びとの対立〈倉吉停車場位置問題〉、1919(大正8)年以降の「由良-倉吉-上井(現、倉吉)」間を結ぶ路線を新設し、こちらを山陰本線としようとする倉吉町の人びとの主張と、上井、下北条での反対運動〈倉吉線本線化運動〉などの地域間の対立を、後の人が山陰線建設時の出来事と誤解したのではないかとの推論を紹介しました。
     開催後のアンケートでは、「当時の倉吉の人びとも鉄道の有効性をよく理解していたということを知ることが出来て良かった」「倉吉線の開業が伯備、因美線より早かったことが驚きでした」などの回答をいただき、参加された方々には郷土の歴史に関する関心を一層高めていただいたものと思います。
     なお、第2回講座を令和5年7月9日(日)午後2時から、鳥取県立博物館講堂で開催します(定員80名、申込不要、先着順)。次回は、鳥取県東部の人びとの活動を中心に解説します。

    講演会写真
    講演の様子

    公文書館 2023/07/06 in 県史活用担当,講座などのイベント

    2023年6月12日

    令和5年度第1回鳥取県災害アーカイブズ検討会議を開催しました

     令和5年6月5日(月)、当館にて令和5年度第1回鳥取県災害アーカイブズ検討会議を開催しました。
     会議では、まず、榎原雅治氏に座長を引続きお願いすることについて、他の委員の方にお諮りし、承認されました。次に、事務局側から今年度の予算の状況を報告し、委員の先生方からご意見・アドバイスを頂きました。
     その後、本事業でのデータベース・アーカイブの構築に係る、委員の先生方からのご提案を協議し、それらを取り入れる形で作業を加速させていくこととなりました。
     コロナ禍以来、初の対面形式での会議開催となったこともあり、密度の濃い話し合いをすることができました。こうしたやりとりを通じて、委員の先生方からのご協力も賜りつつ、事業を進捗させていく予定です。

    【参加者】榎原 雅治 公益財団法人地震予知総合研究振興会 副主席主任研究員(座長)
         香川 敬生 鳥取大学工学部 教授 
         西村 修一 鳥取地方気象台 次長 
         村田 泰輔 奈良文化財研究所 主任研究員 
         西山 昭仁 奈良文化財研究所 客員研究員 
         来見田 博基 鳥取県立博物館 主任学芸員 
         佐藤 紘一 鳥取県立図書館 学芸員 
         柳楽 利明 鳥取県立公文書館長 
         石田 敏紀 鳥取県立公文書館 県史活用担当 課長補佐 
         藤澤 匡樹 鳥取県立公文書館 県史活用担当 専門員

    災害アーカイブズ検討会議の写真
    検討会議の様子

    公文書館 2023/06/12 in 会議など,県史活用担当

    2023年4月13日

    令和4年度鳥取県災害アーカイブズシンポジウム(オンライン)を開催しました。

     令和5年3月25日(土)、令和4年度鳥取県災害アーカイブズシンポジウム「過去の災害情報をどのように活用するか―データベース・アーカイブの可能性―」をオンラインにて開催しました。  
     本シンポジウムでは、まず鳥取大学工学部教授の香川敬生氏から「山陰地方で発生した近現代の地震活動と長期評価」と題する基調講演を行っていただき、その後、関連報告として奈良文化財研究所主任研究員の村田泰輔氏から「考古資料による潜在する地震ハザードの見える化と歴史地震研究」、同研究所客員研究員の西山昭仁氏から「史料データを活用した地震研究―京都での歴史地震の事例―」を、それぞれご報告いただきました。  
     香川氏の基調講演では、強震動地震学の観点より、主に戦前から2016年の鳥取県中部の地震に至る、山陰地方での地震活動が分析されるとともに、それらを勘案した、この地域での今後の地震活動の見通しが示されました。  
     また、村田氏の関連報告では、現在、奈良文化財研究所において進められている、「歴史災害痕跡データベース」の構築に関する話を軸としつつ、複雑な被災の様相を明らかにしていくためには細かなデータ収集が必要であること、その際、発掘現場での調査から得られた情報、あるいは関係する調査報告書等の丹念な読み取り・評価といった地道な作業が求められること、そしてそれらの情報を総合したデータベースを活用することで、活断層についての評価の見直しなどにもつながり得ることなどが分かりやすく説明されました。
     さらに西山氏の関連報告では、京都に被害を及ぼした3つの地震の事例が取りあげられ、歴史学的な観点からする丹念な史料の評価・分析を通じて、通説とは異なる、新たな震央の情報が浮かび上がってくるなど、文系の学問分野も防災・減災に大きな貢献をし得ることが示されました。
     今回ご講演・ご報告いただいた先生はじめ、関係する有識者の方からのご意見を踏まえながら、いよいよ本格的に鳥取県災害アーカイブズの構築に取り組んでいきたいと考えています。

    災害アーカイブズシンポジウム写真
    災害アーカイブズシンポジウムの様子(プライバシー保護のため、一部画像を加工しました)

    公文書館 2023/04/13 in 県史活用担当,講座などのイベント

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