泌尿器科診療は、悪性腫瘍(がん)、
排尿障害、尿路結石、
尿路性器感染症などの
幅広い領域を扱っています。
各種診療ガイドラインに基づいて、個々の病状に応じた治療方針を提案しています。
前立腺肥大症に対する新たな低侵襲手術
2024年12月にRezum(レジューム)システムを常設し、経尿道的水蒸気治療を開始しました。経尿道的水蒸気治療とは、高温の水蒸気を用いる、前立腺肥大症の新しい治療法です。肥大した前立腺に103℃の水蒸気を注入し、前立腺組織を約70℃まで上昇させ、組織を1-3か月かけて壊死・退縮させます。
手術時間は約10分で、術後尿道カテーテルを4日間留置します。尿道カテーテルを抜いた後は、腫れが残っているため排尿が困難になることがあります。その時は、尿道カテーテルを再留置して術後約4週後に尿道カテーテルを抜いて、自然排尿が可能か確認します。
関連学会が策定した指針では、全身状態不良のため合併症リスクが高い症例、前立腺体積 30-80mLを推奨しています。また、抗血栓薬・抗凝固薬を服薬中で術後出血が懸念される症例に対しては、短期間の休薬で注意して施行しています。
(図1)Rezumのデリバリーデバイスとジェネレーター
(図2)デリバリーデバイスを尿道に挿入し、前立腺にニードルを穿刺して加熱された水蒸気を放出します。
加熱された前立腺組織は壊死して退縮します。
診療内容
悪性腫瘍(がん)
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腎臓がん、腎盂尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、
精巣腫瘍など
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排尿障害疾患
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前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿失禁、間質性膀胱炎、
膀胱脱など
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尿路結石症
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腎結石、尿管結石、膀胱結石など |
尿路・性器感染症
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腎盂腎炎、膿腎症、膀胱炎、前立腺炎、精巣上体炎、
性感染症など
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その他の泌尿器科疾患
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小児泌尿器疾患、副腎腫瘍、尿膜管疾患、精巣捻転症、
腎盂尿管移行部狭窄症、後腹膜線維症など
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診療成績(実績)
おもな手術件数
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2020 |
2021 |
2022 |
2023 |
2024
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副腎腫瘍 |
腹腔鏡下副腎摘除術 |
3 |
3 |
3 |
4 |
3 |
腎癌 |
腹腔鏡下根治的腎摘除術 |
6 |
6 |
8 |
15 |
13 |
開腹腎摘除術 |
1 |
2 |
1 |
0 |
1 |
ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 |
0 |
3 |
5 |
11 |
9 |
開腹腎部分切除術 |
1 |
2 |
1 |
0 |
0 |
腎盂尿管癌 |
腹腔鏡下腎尿管全摘除術 |
9 |
9 |
8 |
7 |
5 |
開腹腎尿管全摘除術 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
膀胱癌 |
経尿道的膀胱腫瘍切除術 |
87 |
90 |
76 |
73 |
91 |
開腹膀胱全摘除術 |
7 |
7 |
9 |
5 |
8 |
前立腺がん |
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 |
21 |
21 |
20 |
19 |
25 |
開腹前立腺全摘除術 |
0 |
1 |
1 |
1 |
0 |
精巣がん |
高位精巣摘除術 |
3 |
2 |
6 |
5 |
2 |
陰茎がん |
陰茎部分切除術 |
1 |
0 |
0 |
1 |
0 |
前立腺肥大症 |
経尿道的前立腺レーザー核出術 |
13 |
24 |
31 |
19 |
24 |
経尿道的前立腺切除術 |
2 |
1 |
4 |
1 |
2 |
経尿道的前立腺水蒸気手術(WAVE) |
0 |
0 |
0 |
3 |
9 |
尿路結石 |
経皮的尿路結石除去術 |
4 |
5 |
3 |
1 |
0 |
経尿道的尿路結石除去術 |
36 |
45 |
44 |
41 |
31 |
経尿道的膀胱結石除去術 |
10 |
8 |
13 |
15 |
13 |
その他
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精巣捻転手術 |
3 |
3 |
5 |
4 |
4 |
前立腺生検 |
95 |
112 |
105 |
107 |
122 |
spaceOAR(経会陰的ハイドロゲル挿入)
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10 |
9 |
10 |
14 |
21 |
メッセージ
「患者さんにやさしい標準的医療の提供」を目指しています。
泌尿器科領域の対象患者の多くが高齢者です。手術では、体腔鏡や内視鏡をはじめとする低侵襲手術・検査により患者さんへの負担の軽減を図ります。
院内だけでなく近隣の医療機関とも協力し、安心と満足のいく良質の医療提供を目指します。