鳥取県琴浦町で「コロッケ」といえば、小判型にした魚のすり身にパン粉を付けて揚げた物をいう。
鳥取県琴浦町で「コロッケ」といえば、小判型にした魚のすり身にパン粉を付けて揚げた物をいう。
誕生ははっきりしないが、あぶい蒲鉾=同町八橋=の油井弘行専務(50)は「戦後間もなくでは」と話す。
その昔、町内では8店が製造していたが、現在はあぶい蒲鉾のほか、高塚かまぼこ店=八橋=、北中蒲鉾店=同=、金田かまぼこ店=赤碕=の4店のみ。
魚はスケトウダラを使い、それぞれの店がタマネギやニンジンなどの野菜を混ぜ、独自の味を作ってきた。
ただ、どの店も隠し味に「一味トウガラシ」を入れる。
ピリッとした味わいは、コロッケに味のアクセントを加える。
ソースやマヨネーズを加えさまざまな味を楽しむことができるのも魅力。
おでんの中に入れて楽しむ食べ方も。
カレー味や肉入り、キムチ味などの新商品も次々と生まれているが、一番人気はやはり昔ながらのオーソドックスなコロッケ。
一度に100枚近く買って帰る県外客もいるという。
油井専務は「4店がそろい、商工会などが協力し一緒になってブランドとして売り出す必要がある」と話し、昨今のB級グルメブームに乗せ全国ブランド化を目指す。
30年ぐらい前には、町内の商店にコロッケが並び、子どもたちはおやつ代わりに食べていた。
長年、愛され続けるコロッケは、この地に根付いた「ソウルフード」そのものである。