コ独特の香ばしさ「香茸ごはん」
細かく刻まれた黒い「何か」がふんだんに入った炊き込みご飯-。
思わず茶わんをのぞき込んでしまいそうになるその正体はキノコ。独特の香ばしさから香(こう)茸(たけ)と呼ばれ、山間部ではごちそうとして珍重されている。
香茸は長さ約15センチ、傘の直径は約20センチ。乾燥させると色と香りがより強くなる。「マツタケよりおいしい」と言う人も多く、数万円で取引されることもあるという。
日南町下阿毘縁の農家、林冨美代さん(64)も香茸に魅了された一人。「見た目は黒くて不気味だが、料理をしても香りが消えず食感もいい。マツタケより断然、香茸」
採った後、2、3日陰干しし、袋に入れて冷凍庫で保存する。祝い事や祭りの時に取り出して炊き込みご飯やつくだ煮などにして食べる。「昨年は不作だったけれど、一昨年は豊作だった」と林さん。保存していた香茸をうれしそうに見せてくれた。
林さんら数人でつくる住民グループ「もみの木市」(石橋美登里代表)では、5月と9月に行われる地元、解脱寺の例祭で炊き込みご飯を作って販売する。米子市や安来市のほか県外の檀(だん)家(か)らも買い求めるという。
香茸ご飯を炊き上げた林さんは「みんなにもこの香ばしさを味わってもらいたい」とほほ笑んだ。