鳥取県智頭町に古くから伝わる郷土食の「柿の葉ずし」
口に入れた瞬間、酢の風味とともに塩マスの上に乗せたサンショウの香りが口いっぱいに広がり、塩マスのうま味を一層引き立てる。鳥取県智頭町に古くから伝わる郷土食の「柿の葉ずし」は、盆や祭りのおもてなし料理として町民から愛される一品だ。
海から遠い智頭町で、魚を腐らせることなくおいしく食べる方法として考え出したのが「柿の葉ずし」。柿の葉に含まれるタンニンという成分には防腐効果があり、塩マスが傷むのを防いでくれる。
作り方は至ってシンプル。薄切りにした塩マスは酢水に漬けて味を染み込ませ、合わせ酢を混ぜたご飯を握り、塩マスを乗せる。握ったご飯は柿の葉に乗せ、塩マスの上にサンショウの実を乗せて完成。塩マスのピンクと柿の葉の緑のコントラストで彩り鮮やかだ。
サンショウの実は小粒でも味にアクセントを加え、食欲を増進させる。完成から少し時間を置くことでご飯と塩マスがしっかりとなじみ、さらにおいしくなるという。
柿の葉亭代表の熊谷喜代子さん(69)が「イベントなどで販売するとあっという間に売り切れてしまう」と言うほどの人気ぶり。熊谷さんは「智頭名物の柿の葉ずし。食べたことがない人はぜひ一度食べてみてほしい」と話している。