長芋の素朴なおいしさ「香煎もち」
口に入れた瞬間、大麦粉をいったはったい粉の香ばしさと甘みが広がり、もちもちとした食感が楽しめる北栄町の「香(こう)煎(せん)もち」。餅と言っても一切もち米は使わない。町の特産品である長芋をすりおろしたとろろに、はったい粉とスキムミルク、砂糖を加えて混ぜるだけの簡単料理だ。
今から約20年前、旧大栄町(現北栄町)は町の特産品「砂丘ながいも」の消費拡大と町民の健康づくりを図るため、長芋を素材とした料理の開発を手掛けた。
倉吉保健所や町食生活改善推進員連絡協議会、町農業協同組合(当時)など7団体で構成された長いも料理推進委員会のメンバーが長芋を使った料理全62品を開発。その後、発行した冊子「長いもづくし」で広く紹介した。その中の一品が香煎もち。
長芋は栄養豊富な健康食品。ナトリウムの過剰吸収を抑えるカリウムを100グラム当たり500ミリグラムと豊富に含むため高血圧や動脈硬化などを予防する効果が期待されるほか、食物繊維が多いことから排便を促進し腸内の有害物質の排除、血中コレステロールの減少や上昇抑制などにも有効といわれている。
香煎もちを作ってくれた地元の食品加工グループ「フローリスト西園」(穐山紀美子代表、6人)のメンバー。「とろろ汁や酢の物、お好み焼きなど長芋を使った料理は豊富」と笑顔で材料をこね、もちを花の形に仕上げた。
素朴ながらおいしく、栄養価も高いのが香煎もちの魅力だ。