漁師町に伝わる、イカの胴体にもち米が入ったイカめし。
イカめしは、イカの胴にもち米を入れて煮たもので、イカが水揚げされる各地の漁師町に伝えられてきた。おにぎりのようにシンプルで、もち米のもっちりした食感とイカにだし汁が染み込んだ味が食欲をそそる。
漁業基地・境港市の沿岸でイカ釣り漁などを行う漁業者の妻らでつくる「お魚を食べる会」(平野ヒサ子会長)は、5年前に米子市などで開かれた全国和牛能力共進会など県内各地でのイベントの際にイカめしを作り、来場者に販売してきた。
平野会長(76)は「食べやすく、親しみやすい料理。準備をしてさっと出せるし、さめてもおいしい」と地のものを使った手軽なおいしさを強調する。
冷凍保存したシロイカを解凍して使う。取れたてのものよりも軟らかくて収縮性があり、煮込んだもち米がイカの胴の中で膨らんでも、はみ出さないという。事前に調合しただし汁と調味料を鍋に入れたイカにかけ、煮こぼれしないよう内ふたをして火にかける。
いったん沸騰させてから、弱火にして約30分煮ると、もち米の中に味が染み込んでおいしくなる。手のひらサイズの小ぶりのイカを使うと、手頃で食べやすい。
「おかずも漬物だけでよく、おにぎり感覚で食べられる」「腹持ちがいい」と、会員たちもお気に入りの一品だ。