全国屈指のラッキョウ産地、鳥取市福部町。
鳥取砂丘周辺で栽培されるラッキョウは「らくだ系」と呼ばれる品種。
10月下旬ごろには赤紫色の花が畑一面に咲き、多くの観光客の目を引き付ける。
近年はらっきょう漬けとしてそのまま食べるだけでなく、消費者に手軽に食べてもらえる料理素材としての可能性も模索。
地元を中心にアイデアあふれる創作料理の数々が生み出されている。
ラッキョウ栽培の歴史は古く、約95年前には関西方面への出荷を開始している。
昔ながらのラッキョウの漬け方「本漬け」は、塩水に約2週間浸して乳酸発酵させ、塩抜きして調味液に漬ける。
近年は、塩漬けの手間を省いた「簡単漬け」も人気。
塩抜きの必要がないので、思いたったその日に手軽に漬け込むことができる。
身の詰まったラッキョウを使えば「簡単漬け」でも1年近く保存できるという。
自分で漬ける楽しさを知ってもらおうと、JAと全農とっとりなどは生産者とともに「漬け方講師の会」を結成し、全国のスーパーや小中学校などに出向いて漬け方を教える。
「自分で漬けたら好きになった」との声もあり、着実にラッキョウファンを増やし続けている。
新しい食べ方を提案して、消費のすそ野を広げる動きも盛んだ。
酢漬けのカブでハムやシソと一緒に巻いた「しそフラワーらっきょう」や、豚肉でラッキョウを巻いて揚げた「らっきょうカツ」などのアイデア料理が生み出され、講習会でも人気を集めているという。
同市福部町岩戸地区の生産農家、岩崎幸子さん(60)も漬け方講師の一人。
「ラッキョウはいろんな使い方ができて健康にも役立つ食材。
刻んでサラダに加えたり、漬けた酢を酢の物の味付けに使うのもお薦めです」と、楽しくらっきょう料理の普及に励んでいる。