油揚げに生米やゴボウなどを詰め、だし汁で炊きあげる「いただき」。
別名「ののこめし」とも呼ばれる鳥取県西部の郷土料理は、弓浜半島から始まったといわれる。
不思議なその名は、形が大山に似ているため「頂(いただき)」と呼んだ、形が似ていることから綿を入れた「布(ぬの)子(こ)はんてん」が転(てん)訛(か)し「ののこめし」となった-など諸説ある。
作りおきが利き、腹持ちがよいのが特徴。農家が小腹を満たす料理だったが、次第に祭りなどハレの日に作られるようになった。
にぎわいの中、老若男女が懐かしい味に舌鼓を打ったのだろう。
米子市石井で加工品などを製造する「ふきのとうの会」(小村のり子代表)は「地域の食文化を残したい」と3年前からいただきを作り始めた。
地域のイベントなどで販売し、伝統の継承に励む。
「今の人に食べやすいよう油揚げの厚さなどを工夫した」(小村さん)と言うように、伝統料理をアレンジして現代に生かすのがモットーだ。
具材も鶏肉、シイタケなど好みで選べるだけに、それぞれの家庭の味に挑戦してみても面白い。