せりのような独特の風味とシャキシャキした歯ごたえが抜群。
セリのような独特の風味と香りが口に広がり、シャキシャキした食感もさわやか。鳥取県北栄町内の砂丘畑で栽培されているセリ科植物の「ハマボウフウ」を使った郷土料理は、春から初夏を代表する味として親しまれている。
ハマボウフウは漢字で「浜防風」と書く。かつては同町内の海岸にも自生していたが、乾燥させた根が生薬として利用されることなどから乱獲が進み、今ではほとんど見られないという。
同町松神の浜根農園(浜根良保社長)では1983年ごろから栽培を始め、現在約1ヘクタールで栽培している。酢みそあえで使うのは若葉と茎の部分で、「芽吹いた新芽を食べると柔らかくておいしい」と浜根社長。ゆでたハマボウフウに酢みそをあえるだけのお手軽料理なので、食卓に何かもう一品加えたいときにぴったりだ。
ユズやレモンの皮を香り付けに加えることもあるが、あまりあれこれ加えずにハマボウフウの風味と香りを味わうことがこの料理のポイント。シンプルな酢みそあえは純粋に風味と香りを楽しめ、お酒のあてにも合うという。根の部分は一年中食べることができ、そのまま焼いたり天ぷらにしたりすると、イモのようなほくほくした食感で、こちらも葉と同じ風味と香りがある。
同町内でもハマボウフウは少なく、栽培しているのもごくわずか。浜根社長は「この地域にとって大切な食材。大事に育て、もっと多くの人に知ってもらいたい」と話していた。